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5分前行動

文章

いまはどうだか知らないが、私達が小学生や中学生のときは教師などから5分前行動をしなさいとよく言われたものだ。授業と授業との間の休み時間は10分しかないから、移動教室の授業だったりするとトイレに行くのも大変だったが、それでもちゃんと言いつけを守って5分前には着席している生徒が多かったように思う。
5分前行動を心がけることによって遅刻をしなくなり、また時間を守ろうという意識を持つようになるという点で、この習慣を子供の頃から身に付けさせるというのはいい事だ。日本の電車は時刻表通りに正確に運行していると言われるのも、このような小さい頃からの教育の賜物と言えるだろう。

しかし、5分前行動というのはあくまで遅刻をしないための手段であってそれ自体が目的ではない。そこを履き違えていると、おかしなことになる。

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中学に入学してひと月あまりたった頃、修学旅行ということで新幹線で東京に行くことになった。とは言っても泊まりでは無いので修学旅行というよりも遠足に近いものだ。
その日は朝の8時に駅に集合することになっていた。私は理由あって親の車で送ってもらい駅まで行ったのだが、駅に着いたときには既に多くの同級生達が駅前広場に並んで座っていた。
担任の教師は私を見つけると、

「おい、遅刻だぞ」

と同級生たちの前で注意をしたので、あれ?遅刻なんかしてないはずだぞと思って時間を確認した。中学生なので普段は腕時計などしないが、その日は修学旅行なので腕時計をしていた。

「まだ7時57分です。集合時間は8時ですよね。」

すると教師は、

「5分前行動だろ、5分前行動!!」

と怒鳴りつけた。同級生達が見ているにもかかわらず。その時の得意そうな顔をいまでも覚えている。
これには、つい数ヶ月前まで小学生だった私もさすがに呆れてしまった。

私達を乗せた新幹線はその日も時刻表通りにホームを滑り出していった。