鬱陶しいポスティングをやめさせたい

先日こんなチラシがポスティングされていた。


タッチの差で当マンションを購入できなかった方が3組もいます。

先日、7月○○日に当社で販売中でした○○マンションが無事ご成約となりました。

これはこれでいいことなのですが、同時に当マンションをタッチの差で購入できなかった方がいらっしゃることも事実です。
しかも、熱くお探しの方が3組もいらっしゃいます。
今、間違いなく、有利なご売却ができる状況となっております。

ご挨拶が遅れまして、申し訳ございません。
私は株式会社○○不動産 ○○営業所 当マンション専属担当の○○と申します。
突然、失礼も顧みず、お手紙を差し上げたのには上記のような理由からで、
ズバリ、少しでもご売却・お買い替えをお考えの方にとって、凄いメリットのあるご提案と考えております。


このような話を聞いても、
なんだ。また『お客がいる』って話か…と思われませんでしたか?
このお客様は、先日当社で販売中だった○○マンションを真剣に購入しようとしていた方です。その方が仕事の出張で婚約者と、購入の相談と決断をできなかった為、欲しい物件をタッチの差で逃してしまいました。
この方の内容を少しお話すると…
(現在、お近くの△△というマンションにご両親と一緒に住んでいる方です。この方は来年2月に結婚が決まっており、その新居を!と実家の近くでよく知っている当マンションに絞ってお探しです。当マンションのような大規模マンション限定です。)

私も神様ではありませんので、この方々で100%大丈夫です!とは申し上げません。
しかし、通常よりも良い条件でお取引ができる可能性があることだけは確かだと思います。

2枚目

鉄は熱いうちに打て!ではありませんが、その言葉はこれまで多くのお手伝いをさせて頂いた経験からも確かです。まずはお気軽にご相談頂けましたら幸甚です。

私も、あなた様のお忙しい時間をただで頂くつもりはございません。
お会いするお時間を頂いた際には、
目からウロコの売却コンサルタントをさせて頂きます。
私は、ただ、査定価格をお伝えするだけのようなことは致しません。
あなた様が、ご自宅を売る為に本当に必要なことをお伝えしております。
その一部を紹介すると…

  • 今売る方がいい?5年くらいは待ったほうが高く売れる?
  • 賃貸にしたほうがいい?それとも売ったほうがいい?そのタイミングは?
  • 売却するのに本当に大事なのは不動産会社?それとも営業マン?その力の見極め方。
  • 家を見に来たお客様の第一印象をあげる方法。
  • 家を見に来たお客様が買いたくなる、売主からのアピールの仕方とそのタイミング…

などなどこれはほんの一部ですが、すべてアドバイスさせて頂きます。

大切な資産であるご自宅の売却です。当然ながら、私の話を聞いただけで私に販売を任せてくださいとは申し上げません。(任せてもらえると嬉しいですが…)
そしてなによりも、○○マンションの売却に絶対の自信をもっております。是非、株式会社○○不動産の○○にご相談ください。

ご相談のお申込は簡単です。
下記の番号に電話して私、○○を呼び出すか、
FAX査定用紙にご記入の上、FAX送信してください。

株式会社○○不動産 ○○営業所 ○○○○


なかなかの酷さである。
不動産の広告が酷いのは一種のお約束なのでそれ自体は珍しいことでもないのだが、ここまで扇情的な広告はなかなか見たことがない。仲介担当者の脂っこい大きな顔面が眼前に迫ってくるような、強い圧力を紙面からひしひしと感じる。

しかも何が酷いってこれが駅前にある所謂"街の不動産屋"が撒いたビラではなく、とある業界で上位5社に入る、東証一部上場の大手企業の、系列不動産会社が作ったビラだということだ。このようなビラを撒いていては企業としての姿勢を疑われても仕方がないと思うが、どうやらそんなことはお構いなしのようだ。魑魅魍魎が跋扈する不動産業界だけある。
なお街の不動産屋さんは地域とのつながりや、イメージ、信用を大切にしているのでこういったことは普通やらない。


広告の文面について詳しく見ていきたい。
まず目に付くのは煽り文句の多さだ。

タッチの差

今、間違いなく、有利なご売却ができる状況

鉄は熱いうちに打て!

など、通常よりも高く売れることを匂わせる表現を随所にちりばめている。これらは過度に期待感を煽る表現であり、このような表現を多用する広告には注意が必要だ。


顧客の個人情報についてもかなり詳しく書かれている。この広告からは、

  • 現在住んでいるマンション名(実名で書かれている)
  • 両親と同居
  • 2月に結婚予定の婚約者がいる
  • このマンションに強い関心を示している

などの事実を読み取ることができる。
知っている人が見ればすぐに誰だかわかりそうな内容で、下手をすれば個人が特定されかねない。これ事実だとしたらヤバいんじゃないの?

もし自分がこの買主の立場だったとして、このような仲介担当者、仲介業者を信用できるだろうか。顧客の個人情報をチラシに書いてばら撒くような不動産会社に、不動産の購入という多くの人にとって生涯にそう何度もない重大な買い物を、安心して任せることができるだろうか。
しかも、「ここにカモがいますよ」と宣伝してまわるような業者である。


あまりにも具体的に書かれているので、むしろこれは創作なんじゃないかとさえ思う。購入希望者がいることや、購入希望者の個人情報などの一部または全部が架空の内容、つまり嘘である可能性がある。むしろこっちの可能性の方が高いんじゃないかと個人的には思っている。
もし虚偽であったとしたら、それはそれで問題がないとはいえない。ありもしない客や物件情報を載せて客を呼び込む"おとり広告"は、宅建業法で規制されている。しかしネットの賃貸情報サイトなどを見ても時折おとり広告らしい広告が掲載されており、業界から完全に無くなってはいない。
もし広告の記載内容が虚偽であった場合、宅建業法の誇大広告、あるいは景品表示法の有利誤認に該当するなど各種法律に抵触するおそれがある。ただこのチラシは物件の広告でなくあくまで売主募集の広告なので、該当するか微妙なところである。


ところでこの仲介担当者は"目からウロコのコンサルティング"をしてくれるらしい。
しかしその内容とは、

  • 今売る方がいい?5年くらいは待ったほうが高く売れる?

というものらしいが、そんなものが不動産会社にわかるのだろうか。
もし"高く売れるタイミング"が本当にわかるのだったら、仲介なんてやってないで自ら売り買いをするか、株でもやっていた方がいい。

  • 売却するのに本当に大事なのは不動産会社?それとも営業マン?その力の見極め方。

この担当者が不動産会社や営業マンの見極め方を語るとは何かのギャグで言っているのか?

スティングが鬱陶しい

まあこんな不動産会社のチラシを見て電話なぞするわけもなく、ネタにでもするかスルーするだけなのでどうでもいいんだけど、それよりも嫌なのはこういうチラシが毎日のようにポスティングされることだ。郵便受けがゴミみたいな*1チラシでいっぱいで辟易する。ゴミを捨てるのだってコストがかかる。
郵便受けには「チラシ、ポスティング禁止」と貼ってあるがもちろんそんなものは効果がない。警備員が常駐している高級タワーマンションだったら、すぐに駆けつけて排除してくれるのに。
玄関でポスティングをしている人間を見かけたらなるべく声を掛けて注意するようにしているが、その時は素直に帰ってもどうせまたやってくる。中には「何号室ですか?」なんて聞いてくる輩もいる。禁止と貼ってあるんだから全館禁止に決まってるだろ、大体なんでお前に部屋番号を教える必要があるんだ。しかし彼らにとっては住人などどうでもいい。彼らにとっての客は雇用主であり、広告主であり、ポスティング先の住人に嫌われようと世間から後ろ指をさされようと痛くも痒くもないのだろう。
広告主にポスティングをやめるよう直接電話したこともある。しばらくは収まったが忘れた頃に再開された。いちいち付き合っているのも面倒なので、やはり無視をするしかない。

チラシをポスティングしていくような企業のサービスを利用したいとは思わない。しかしポスティングはなくならない。迷惑がる少数を無視し、イメージの毀損というデメリットを抱えてもなお集客効果のメリットが上回るのだろう。いつだって少数派は割を食う。

*1:文字通りゴミ以外の何物でもない