ベルトを締める方向
野球は激しく走るスポーツなのになぜユニフォームのズボンにベルトをするのだろう。
ソフトボール大会の練習で初めてユニフォームを着たときそんなことを考えた。ソフトボールは小学校の球技大会の男子の種目だったのでそれは小学生のときだった。
それまでベルトのある服を着たことがほとんどなかった。
ちなみに女子はポートボールだった。ポートボールというのはバスケットボールの子供版のような競技で、リングの代わりを人が務める。ゴールマンといった。ゴールマンがボールをキャッチすれば得点が入る仕組みだ。バスケットのリングがなくてもできるかわりに、誰かがゴールにならないといけない。
誰かが「ベルトは時計回りにすると脚が速くなる」と言った。いま思えばそんなのどう考えてもあり得ない。もし本当ならウサインボルトもベルトをしているはずだ。しかし当時はなぜだかベルトは時計回りが流行った。時計回りとは自分から見て右側のベルトループからベルトを通していくやり方のことだ。
どうもベルトというのは一般的には左から(反時計回り)通していくものらしい。バックルに書いてある文字も左向きに通したときに正しい方向を向くように作られている。今日駅や電車でスーツ姿のサラリーマンのベルトを注目してみたが、時計回りにベルトを締めている人は見つけられなかった。
しかし、私は最初に覚えたベルトの通し方が時計回りだったので反時計回りがやりづらく、いまでも時計回りにベルトを締めてしまう。反時計回りはどうも居心地が悪いし、最初に左手で通していかないといけないのでちょっと難しい。
でもそれだけではない。ベルトは時計回りにした方が"座りがいい"のだ。
下の図を見てほしい。これはベルトをしていない状態のズボンの腰回りを上から見た状態である。(図の上が前側、下が身体側)
一般的なズボンはこのように前の部分では左側の布が前にくるように重なっている。
続いてこの図は、一般的な方法である反時計回りの向きに締めたベルトの、バックル部分を、同じように上から見た状態だ。
反時計回りにベルトをすると、バックルの付いていない端(穴の空いている方)の先端は体の左側にくるようになる。
この図を見てバックルの付け根付近に厚みがあるのがわかるだろうか。
赤丸の部分では、ベルトの革が三重になっているために厚みが生じている。
ではこの図を先ほどのズボンの図と重ねるとどうなるだろう。
そう、厚みがあるために右側の青丸のような大きなスペースが発生してしまう。さらに左側の赤丸部分も前にかなり飛び出してしまっている。
ではベルトを時計回りに締めるとどうだろうか。
なんと先ほどあったはずの青いスペースがなくなっているではないか。
仕組みは単純。赤丸部分の厚みが、ズボンの布の段差にピッタリフィットしているのだ。甲子園優勝校のバッテリーの息のようにピッタリ合っている。
ベルトが不自然に前に飛び出すこともなく、非常に納まりがいい。
この事実に気づいてしまってから、ベルトはむしろこの向きで締めるのが正しいのではないかと密かに思っていた。
ぜひみなさんも
シートベルトは忘れずに!
腰のベルトは右回り!
この合言葉を胸に刻んで明日からもズボンを穿きましょう。