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耳だけが熱くなる

 子供の頃からずっと気になっていたことだが、なにもしていないのに急に耳だけが熱くなる。火照ったようになりとても熱い。でも耳だけで顔は熱くならないし、片耳だけの時もあってそういうときは鏡で見ても左耳は普通なのに右だけやけに赤くなっているのがわかる。鏡の中の人にとっては左耳だ。鏡は左右が反対になるのにどうして上下は反対にならないの? という疑問の答えは、実は左右は反対になっていない。右側のものは右側に映るし左のものは左に写っている。鏡は鏡の面に対して奥行き方向を反対にしている。赤いのは左耳ではなく右耳だ。

 特にいまの時期のような季節の変わり目、春や秋などの中間期には職場の空調が冷房から暖房に、またはその逆に変わる時期で自分の体温と環境を合わせにくく暑く感じ、耳もまたそれに反応する。けれど室温や気温が暑くなくても耳が熱くなることもある。一度熱くなると少なくとも10分はその状態になり、だんだん思考もぼやけてきて居心地も悪く、一刻も早く耳を冷やしたくなる。

 今日は仕事中に右耳が熱くなって仕方がなく、冷たいお茶の缶などを当てたり顔を洗ったりしたがどうにも治まらないので給湯室に行ってウォーターサーバーから紙コップ1杯水を汲み、コップに右耳を浸けていたら誰かが通りかかった。ウォーターサーバーは今年の夏に設置されたもので、12リットル入りのデカいペットボトルが上に乗っている。水を飲み切った人は空のボトルを新品に交換するルールだが、給湯室に行くと週に3回は空のボトルがセットされたままの状態に遭遇するので、仕方なく私が替えている。水だけ飲んで交換をサボる奴が絶対いる。海あり県の出身で水はタダだと思っているに違いないが、実際ウォーターサーバーの水は従業員はタダだった。しかし私はサーバーから自分の水筒に水を汲むことがあるので、交換は義務だと思ってやっているが、通りかかった同僚はなにか言っていて耳は水の中なのでよく聞こえなかった。

 中学生の頃、金属でできた長方形の筆箱が一時期流行っていて、地元ではカンペンと呼ばれていた。カンペンは常に冷んやりしていて、耳をつけると気持ちがいい。同級生たちはカンペンの蓋の裏にモーニング娘。GLAYのシールを貼ったりシャーペンで表面をエッチングして模様を描いたりとオリジナリティの追求に余念がなかったが、私は授業中に耳を冷やすのに最適であるという理由その一点においてカンペンを選択していた。


もっとカッコよかった筈なんだけどなぁ