牡蠣が食えたら

#牡蠣食えば のサブブログにしました。

趣味の宝物を捨てられなければ、父親には向いていない。

大きな少年は父親へ。漫画、CD、高い服…宝物が赤ちゃんの"洗礼"にあって悟りを開く by ムーチョ - 赤すぐnet 妊娠・出産・育児 みんなの体験記

 少し前にTwitterを眺めていたら、はてなブログの公式アカウントから「たくさん読まれています」とサムネイル付きで流れてきたので読んだこの記事。内容はなんてことない、子供に本を破られましたというようなものだったが、後半部分に強い違和感を覚えて「あーこれは燃えてるのかもわからんなー」とブックマークコメント一覧を見てみようかと思ったらブックマーク数ゼロだった。そもそもはてなTwitterアカウントが流してくる「たくさん読まれています」がどういう基準でたくさん読まれているのかいつもわからない。ブクマ0はザラ、公開されたばかりでスターすら0の記事も多数、そんなにたくさん読まれている感じが全然しない。ソシャゲとジャニーズの記事ばかり流してくるのも止めて欲しい。

大きな少年は父親へ。漫画、CD、高い服…宝物が赤ちゃんの"洗礼"にあって悟りを開く by ムーチョ - 赤すぐnet 妊娠・出産・育児 みんなの体験記

子供の手の届く場所に放っておいた、壊されてもいい、というのは自分にとって"最初からその程度のものだった"ということ。趣味を捨てることが父親になることではない。

2016/03/16 13:38
b.hatena.ne.jp

 半ば脊髄反射的にコメントをして、そんなことも忘れていたら、今日になってそのブコメに「スターがつきました」の通知が立て続けにあった。見てみると上記の記事が俄に注目を集めていてブックマークも少し伸びているらしい。それでどんな記事だったかなと読み直してみたらやっぱりいい気分にならなかった。

 長い記事でもないので(というか4コマ漫画)1回読んで欲しいんですが、流れとしては、

子供が生まれた
→赤ちゃんが作者の大切にしていたもの(限定版のCD、絶版になった漫画本、AV機器、ブランドものの服など)を壊したり汚されたりする
→ついに「一生大切に持っていよう」と思っていた漫画本を破られる
→「なんでこんなものを異様なまでに大切にしてたんだろう」
→物への執着が無くなる
→いままでの自分は子を育てる親には向いていなかった

 というもの。

 特に違和感を覚える部分は後半部分、

ある時、本当に「一生大切持っていよう」と思っていた大切な漫画を破かれたんですね。
まあそもそも、それほど大事な漫画を、子供の手に届くところに置いてあったのが悪いんですけど、つい片付け忘れてしまった時がありまして。
それでハッと気づいたんです。
「なんでこんなものを異様なまでに大切にしてたんだろう」
と。
それ以来、憑き物が落ちたように、物に対するこだわりが無くなっていきました。
自宅に赤ちゃんがくるまで、僕はただ年齢を重ねただけの「大きな少年」だったように思います。
それが別に悪いということではないのですが、赤ちゃんを育てる立場としては、「少年」はあまり適していないんですね、きっと。

 ここのロジックは「物に対するこだわりがある人は”大きな少年”であり、赤ちゃんを育てるのは適さない」
 それは本当か?
趣味の物を大切にするのはそんなに「異様」なことなのか。むしろ「一生大切に持っていよう」と思う物の一つや二つ持っているのが趣味じゃないのか。趣味のもの、宝物を大切にすることは拘泥することとは違う。物を大切にする心は大人も子供もない。むしろ一生大切にしようという物さえ大切にできないようでは、自分の子供を大切にできるのだろうかと心配になる。

 ところで趣味は子供ができたら諦めなければならないことなのか。趣味を捨てなければ子育てはできないのか。そうは思わない。
 趣味を大切にすることと、子供を大切にすることの、その二つは別のもので、両立し得るもので、どちらがより大切かなどと比べるものではない。
 私は大切な物を持っているし、子供もいる。子供にその大切な物を壊されたら、私の場合はまだたまたま金で買える物だから、諦めはつくだろうけど、だからといってそれを「なんでこんなもの」とは思わない。仮に金を払っても二度と手に入らないもの(趣味の物はむしろこの類いの物が多いはず)であれば、壊されないように細心の注意はするだろう。それは子供より趣味の方が大切とか、またはその逆とか、そういう話ではない。
 ”専業主夫”を名乗る人が「父親になったら物へのこだわりを捨てろ」と言ってしまうの、キツいなーと思う。私が独身だったらそれを読んで「じゃあ子供はいらないや」と思ってしまうかもしれない。しかも独身男性にだけでなく、世の専業主婦に対しても「専業主婦(夫)なら物への執着を捨てろ」と言っているようにも聞こえてなおキツい。

 ここからは蛇足。これがこの人の個人ブログで個人的に書いているなら、まあこの人個人的な育児あるあるなんだろうなあ(実際には育児あるあるでも何でも無い。普通は大切なCDや本、フィギュアやAV機器を幼児の手の届くところに置かない、それは壊されないようにもあるが、第一に幼児の安全を考えてのこと)で済むんだけど、これが載っているのが「赤すぐ」とかいうサイトの「みんなの体験記」で、一応「本サイトに掲載の記事はすべて個人の体験に基づいた記事となっております。」とは書いてあるけど、まるで一般化された事例のように扱われて、これを読んだ妊娠中の人やその夫が「父親とはこういうものなんだ」と変に受け止めてしまって、これから父親になる人が思い悩んだり鉄道模型を捨てられたりする事件が起きたら不幸だなぁと思った。




鉄道模型趣味 2016年 04 月号 [雑誌]

鉄道模型趣味 2016年 04 月号 [雑誌]