巨匠
先日とある性格診断をやってみたら「あなたのタイプは巨匠です」という結果になって、他にどんなタイプがあるのか確認したところ建築家とか論理学者とか管理者といったまともそうな名前が付けられていたので巨匠だけ浮いてるような気がした。「私は討論者です」ならなんかカッコいいけど「私は巨匠です」ってバカっぽい。なんの巨匠だよ。何も成し遂げてないのに巨匠を名乗るのはおかしい。というか本当にその道で一流の人は自分のことを巨匠とは言わない。念のため英語版のサイトも見てみたところ "VIRTUOSO" というタイプ名で、名人、達人という意味のイタリア語だった。巨匠という訳もやはりあった。
巨匠と聞くとどうしてもバカにするようなニュアンスを感じてしまうのは私の貧困な発想によるものだが、それは中学の同級生に巨匠というあだ名の男子がいたことが大きく影響している。彼は家庭科の時間にジャガイモの皮をピーラーを使わずに包丁で極限の薄さに剥いたことから巨匠というあだ名になってしまった。それ自体はすごいことなのに、彼は他のことでもバカにされていたから、匠の技でさえも嘲笑の対象になった。いま考えればあれはいじめである。どんな褒め言葉であっても文脈次第で蔑称にもなる。
それは朝ドラ「まれ」を見ていたときに思い出した。主人公のまれは輪島塗職人の女将で双子の子供がいる。二卵性双生児でさらに男女なので2人は全く似ていない。女の子は目がクリッとしていて可愛いが、男の子は太っていて目が細く、これが名前を匠という。
ある日匠君の失踪騒ぎが起きて、あのドラマの登場人物達は家族と他人という概念が希薄なので、村の住民達が総出となって匠君を探し回る。結局居間の和室にある地袋の中から見つかるのだが、隠れていた理由を問いただすと、学校で同級生に「巨匠」や「ぶたろう」と言われていじめられたからだと言った。ぶたろうというのは、輪島塗の当主「紺谷弥太郎」のもじりだ。
もちろんこれはドラマだから実際にからかった小学生がいたわけではなく脚本家が考えた台詞だが、私がもし匠君の同級生だったら、真っ先に名付けてそうなあだ名だと思った。
ISTP型の人達が直面する最大の課題は、性急な行動が多く、自分の寛大な気質を当然視し、他人も同じだと思っている点です。真っ先に心無い冗談を言ったり、他人の企画に深入りして、大騒ぎしながらかき回したり、より興味のあるものが現れたために、突然計画を変更したりします。