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「大手のマンションを買っておけば安心」の嘘と本当

文章

旭化成建材がデータ改ざん 横浜の傾いたマンション :日本経済新聞
横浜のマンション傾斜で壁にも住民同士にも亀裂走る - 社会 : 日刊スポーツ


 横浜市のマンションで傾きが見つかり、基礎と地盤を固定する杭工事にデータ改竄があったことが問題となっている。こういうとき「大手が販売するマンションだから安心していたのに!」「なんのために高い金を払って大手のマンションを買ったのかわからない!」という声をよく耳にする。


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 しかしそれはむしろ逆で、こういうときこそ大手デベロッパーのマンションを買っておいてよかったのではないかと思う。仮に中小デベロッパーが販売したマンションで同様な問題が発生したとしたら、住人は必要な補償を受けられない可能性が高い。それどころか販売してから10年後まで企業が存続しているかさえ怪しい。実際、問題となったマンションが販売された2006年に営業していた中小マンションデベロッパーのうち、少なくない企業がリーマンショックの影響で倒産してしまった。

 問題のマンションの住人が「裏切られた!」と思う気持ちもよくわかる。しかし、何事にも絶対はない。大企業だからといって問題がないという保証はない。2013年に三菱地所レジデンスが販売していた港区南青山の「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」で工事の不具合が見つかり、結局1棟建て替えになった事件は記憶に新しい。あれだって坪単価800万円以上の超高級マンションである。高ければ安心というわけではない。

 大手デベロッパーの分譲するマンションであっても、耐震偽装、欠陥工事などが発生するリスクがないとはいえない。素人の消費者が事前に欠陥を見抜くことなどほぼ不可能と言っていい。人気のマンションともなれば建物の竣工前に完売してしまうこともザラで、尚更気づくのは不可能だろう。
 大手デベロッパーだから安心、大手ゼネコンだから安心というのは全くの嘘で、建物の耐震性能や安全性、施工品質については大手も中小も大差ない。日本に分譲マンションという共同住宅が誕生してから50年以上の歴史が経つが、そのあたりの技術はほぼ確立していると言っていい。また元請業者が名前の通ったスーパーゼネコンであっても、下請けに中堅ゼネコン、地元の建設会社が入るので結局は同じである。というか仮に品質に問題のあるマンションを作っている中小デベロッパーがあるとしたら、そんな企業はとっくに潰れている。会社の名前、規模と建物の品質が比例するというのは幻想だ。


 大手デベロッパーから購入することの何が安心なのかといえば、問題が起きた時の補償がまともに受けられる可能性が高いということでしかない。仮に建て替えとなれば、解体から新築工事まで合わせて丸2年はかかり、その間の仮の住まいや引越し費用、場合によっては精神的損害に伴う慰謝料など全てデベロッパー、あるいは施工業者が負担することになる。それだけの補償ができる体力が企業に残っていればの話だが。

 それ以外に大手のマンションを買うメリットと言えば高い値段で売却しやすいということぐらいだが、その分購入時の金額も高いので一概にメリットとも言えない。それも三井三菱、あとは野村不動産のプラウドといったブランド力のあるマンションに限られる。それよりも立地を優先すべきである。建物は老朽化するが、土地の利便性はそう激しく変動はしない。


 個人的には高い金を払って新築マンションを買うなんて馬鹿げていると思っているが、それでもこれから新築マンションを買おうという人は、やっぱり大手デベロッパーのマンションを買った方がいいですよ。

トピック「データ偽装」について