『1Q84』 読書感想文
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/05/29
- メディア: 単行本
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読みました。
大人気作家村上春樹の小説、それも新しくもないけどそんなに古くない割と新しい長編小説のレビューなんていまさら需要は無いですが、私のために感想を書きます。
あとで、あれどんな小説だったっけって思ったときに読み返して、あああんな小説だったなと思い出せるように書きます。
1Q84を読んでない人はこの先を読まないかも知れませんが、読んでない人向けには書いてないので注意してください。おそらくネタバレ要素を多分に含んでおります。
なお、読んだ人向けにも書いてありません。1Q84を読み終わった僕向けに書いてあります。
念のためもう一度言っておきます。ここから先は作品中のネタバレ要素を含むかもしれないので閲覧は自己責任でお願いします。
くだらない前置きはこのくらいにして、まずストーリーについて。
長いので3行にまとめると、
- 心の奥でひっそりとお互いに知ることもなく想いあっていた2人の男女が
- 夜空に2つの月が浮かびリトルピープルのいる異世界「1Q84年」に迷い込み
- なんやかんやあって20年振りの邂逅を果たして異世界から脱出
- そのあとめちゃくちゃセックスした
こう書くとなんかファンタジーラブストーリーっぽいけど、天吾と青豆が直接コミュニケーションとらないので普通のラブストーリーを期待していると期待が外れる。
私は普通のラブストーリーは期待してなかったんですが、タイトルが1Q84だったので普通にジョージ・オーウェルの1984年みたいな、世界の終わりのような雰囲気を想像していたら、割と普通のリアリティのある現代劇だった。
リアリティとは言っても二つの月とか空気さなぎとかリトルピープルとかは完全なファンタジーなんだけど、それも最初のうちは青豆と天吾の章がそれぞれ独立て進んでるので、青豆の章は天吾の書いている物語の中の話なんじゃないかって思って読んでいた。たぶん違ったけど。
よくわからなかったのが、天吾はいつ1Q84年に来たのか。青豆は冒頭でシンフォニエッタを聴いてたタクシーを降りて首都高3号線の非常階段を降りたところで世界がシフトしたって明確にわかるんだけど、同じ頃天吾は何をしていたのか。
あるいは同じタイミングで1Q84年に迷い込んだとは限らないとして、天吾が1Q84年に来てしまったのはいつなのか、きっかけは、それがよくわからなかった。
ふかえりの原稿の書き直しをしているうちに来ていたのかも知れない。しかしふかえりの原稿には既にリトルピープルのことが書いてあったはず。だとすると物語が始まる前か。
それとも最初に小松の前で幼い日の母の記憶にトリップしていたときか。
あるいは天吾もいつ来たのかわからなかったのかもしれない。
青豆は元の世界への戻りかたを知っていた。それはどうやってこの世界に来たのかを知っていたから。
天吾は戻りかたを知らなかった。青豆のあとをついていっただけだ。
あと印象的だったのは、宗教の勧誘とNHKの集金人という2種類の、"多くの場合歓迎されない戸別訪問"をする人達についてかなり事細かな描写がされていたこと。
というのも、私も昔アルバイトでそういう戸別訪問をする仕事をしていたので、ほんの少し共感したのと、子供の2人に同情した。私がしていたのは宗教でもNHKでもないですが。
特に天吾の父親はNHKの集金人1本で天吾を育て、定年まで働いたというのは単純に凄い。ストレスも相当なものだっただろう。
あと、いくつか残された謎があって、物語の残尿感で膀胱がヤバい。
謎は謎なんでこれはもう箇条書きします。
- 天吾の本当の父親は誰か
- 天吾のフラッシュバックは現実に起こったことか
- 終盤登場した偽集金人の正体
- ふかえりは深田絵理子のドウタなのか
- 青豆がシンフォニエッタを知っていたのはなぜか
- 牛河の口から出てきたリトルピープルが作った空気さなぎの中身
とかそんな感じ。どこが謎なんだちゃんと書いてあるだろっていうのもあるかもしれないけど。
あと青豆っていう名前。青豆って実在する名前なのか知らないし調べてないけど珍しい名前じゃないですか。そんな珍しい名前にする必要ってあったのかな。
青豆っていう珍しい名前じゃなかったとしても、天吾の記憶には残ってたし牛河の追跡からは逃れられなかっただろうと思います。
わざわざ青豆という名前にすることに物語における必然性があったのか、よくわかりませんでした。まあ登場人物の名前に必然性を持たせる必要なんてないんですが。
あと相変わらずセックスの描写がくどかったです。
セックス描写がいまの3割くらいに削減されればもっとストレスなく読めるのにな、と読みながら何度も顔をしかめました。
とまあつらつらとまとまりもなく書いてしまいましたが、全体的には期待していたほど面白くはなかったけど、かといってつまらなくもない割と面白い小説でした。以上です。